中央アメリカの北部に位置する「グアテマラ共和国」
国土の約70%が火山に囲まれた山岳地帯で、コーヒー栽培に理想的な環境が整っています。
グアテマラ産コーヒーの特徴は、一般的には「やや強い酸味と花のような上品な香り」が挙げられます。
しかし、北海道と四国を合わせた程度の広さを持つこの国には、実は8つの主要なコーヒー産地があり、それぞれに独自の風味があるのです。
そこで、
「グアテマラコーヒーの魅力とは?」
「具体的にはどんな味わい?」
「おすすめの飲み方は?」
といった疑問を持つあなたに、グアテマラコーヒーが美味しい理由や8つの主要産地の特徴、風味についてご紹介します。
多彩なコーヒーを味わいながら、心地よいコーヒータイムを楽しんでみませんか?
グアテマラコーヒーの魅力
グアテマラコーヒーの生産地は、グアテマラ共和国です。
この国は中央アメリカの北部に位置し、人口は約1,735万人、国土面積は108,889平方キロメートルです。
首都はグアテマラ市で、通貨はケツァル(Q)です。
気候は雨季(5月から10月)と乾季(11月から4月)に分かれており、主な産業は農業(コーヒーやバナナなど)と繊維産業です。
グアテマラは、メキシコを除く中央アメリカで最も人口が多い国で、日本の熊本県とほぼ同じ人口を持っています(2023年の統計)。
古代マヤ語で「常春」を意味するこの国は、高地に位置するグアテマラ市のおかげで、年間を通じて温暖な気候が特徴です。
国土は日本の約3分の1の面積で、太平洋とカリブ海に面し、北緯14度から18度の範囲に広がっています。
火山活動によって形成された山岳地帯が約70%を占め、ここで栽培されるコーヒーは日本に輸出されています。
世界第12位のコーヒー生産国
2022年時点で、グアテマラは世界で12番目のコーヒー生産国であり、中米を代表する生産国です。
しかし、国内での消費よりも輸出が多く、日本は主にブラジル、ベトナム、コロンビアからコーヒーを輸入しており、グアテマラはその中で第4位に位置しています。
2020年にはセブンイレブンでグアテマラブレンドが販売され、多くの人にその独特の味わいが評価されました。
また、多くの口コミサイトでは、グアテマラ産コーヒーが飲みやすく、日本人の味覚に合いやすいと高く評価されています。
等級制度について
「グアテマラSHB」といった名称を見かけることがありますが、これは各国独自の等級を示しています。
グアテマラを含む中米では、コーヒーの栽培地の標高が評価基準となっており、高い標高で育った豆は豊かな風味を持つとされています。
標高 | 規格 |
1,300m以上 | SHB(ストリクトリー ハードビーン) |
1,200〜1,300m | HB(ハードビーン) |
1,050〜1,200m | SH(セミハードビーン) |
900〜1,050m | EPW(エクストラ プライム ウォッシュド) |
750〜900m | PW(プライム ウォッシュド) |
600〜750m | EGW(エクストラ グッド ウォッシュド) |
600m以下 | GW(グッド ウォッシュド) |
このように、グアテマラコーヒーはその豊かな風味と多様な等級によって、多くの人に愛されています。
グアテマラコーヒーの風味について
グアテマラで育てられたコーヒー豆は、どのような味わいや香りを持っているのかをご紹介します。
力強くも優しい味わい
グアテマラ産コーヒーの主な特徴は、オレンジやリンゴを思わせるやや強い酸味です。
深いコクがあり、後味にはチョコレートやナッツのような甘みを感じることができます。
ブラジルのように苦味と酸味のバランスが取れたコーヒーとは異なり、独特な個性を持っています。力強さと優しさを兼ね備えた、飲み応えのある一杯を楽しむことができます。
柔らかな香り
グアテマラ産コーヒーは、柔らかいフローラルな香りが特徴です。
飲むと、口の中に花のような優しい香りが広がり、フルーティーな味わいと見事に調和します。
グアテマラ産コーヒーが美味しい理由
グアテマラ産のコーヒーが高品質である理由は、栽培環境と生産者の努力によるものです。
主なポイントを3つ紹介します。
コーヒー栽培に適した山岳地帯
「木々の土地」を意味するグアテマラは、亜熱帯気候に恵まれ、高い火山が点在しています。
この地域の特長は次の通りです。
大きな寒暖差
ミネラル豊富な清水
火山活動によって形成された肥沃な土壌
これらの自然条件が揃った火山地帯は、コーヒーの栽培に非常に適しています。
昼間の暖かさと夜の涼しさにより、コーヒーの実は豊かな旨みを持って成長します。
収穫期は9月から4月までで、低地では9月から始まり、高地では収穫が遅れます。
収穫されたコーヒーチェリーは丁寧に選別され、生豆に加工されます。
日陰栽培と水洗式の贅沢な手法
グアテマラのコーヒーはほとんどが日陰で栽培されており、強い日差しから葉を守り、成長を調整できます。
しかし、この方法はスペースを必要とし、生産量が減少することもありますが、それでも、贅沢な栽培手法とされています。
収穫されたチェリーからは種子が取り出され、95%以上が「水洗式」で加工されます。
このプロセスでは、果肉とパーチメントが取り除かれ、完熟果実と未熟果実が早期に選別されるため、発酵による風味の変化が少なく、果実味のあるシャープな酸味が際立ちます。
その結果、重厚で力強い生豆が完成します。
ANACAFE(アナカフェ)の取り組み
グアテマラ産コーヒーの美味しさのもう一つの理由は、「グアテマラ全国コーヒー協会」(通称ANACAFE)の存在です。
1969年に設立されたこの機関は、生産者が共同で出資し、コーヒーの品質管理を向上させるために活動しています。
ANACAFEの主な取り組みには以下のようなものがあります:
世界市場へのマーケティング
消費国への啓蒙活動
農園の管理
生産者の育成
これらの活動を通じて、変化する環境に対応した高品質のコーヒーが生産されています。
グアテマラ産コーヒーの8つの主要産地
グアテマラ産のコーヒーは、栽培される地域ごとに標高や気候が異なるため、味わいに豊かなバリエーションがあります。
アナカフェによる8つの生産エリアでは、特に質の高いコーヒーが生産されています。
ここでは、グアテマラ産コーヒーを探す際に役立つ、各産地の特徴と風味をご紹介します。
コバン(Rainforest Coban)
フルーティなフレーバー
コバンは他の地域とは異なる独自の特徴を持っています。
涼しい気候で、曇りや雨の日が多く続く丘陵地帯です。
土壌は石灰岩と粘土質から成り、大西洋の盆地や北方の熱帯の影響を受けています。
アンティグア(Antigua Coffee)
濃厚なコクと豊かな甘み
8大産地の中でも、アンティグアは特にコーヒーに適した自然条件を備えています。
品質の高さと伝統から、グアテマラコーヒーの象徴的な存在です。
火山性の豊かな土壌と低温、長い日照時間、夜間の涼しさが特徴です。
壮大な3つの火山に囲まれており、その一つ「FUEGO」からはミネラル豊富な火山灰が降り注ぎます。
ニューオリエンテ(New Oriente)
チョコレートのような風味で重厚
ニューオリエンテは、コバンと似た気候で、かつての火山地帯です。
変成岩が砕けた土壌はミネラル成分がバランスよく含まれており、グアテマラの他の火山地域とは異なる味わいを提供します。
アティトラン(Traditional Atitlan)
明るいシトラス系の酸味
アティトランは、火山性コーヒー栽培地域の中でも特に有機物が豊富な土壌を持ち、日照量が非常に多い地域です。
アティトラン湖の岸辺にそびえるダイナミックな火山の傾斜で栽培されています。
アカテナンゴ(Acatenango Valley)
クリーンな後味が楽しめる
2006年にアナカフェにより8番目の生産地として登録されたアカテナンゴ。
フエゴ火山のミネラル豊富な火山灰が良質な土壌を形成し、多くのシェードツリーが生息して自然環境を守っています。
フライハーネス(Fraijanes Plateau)
クリアな酸味
フライハーネスは活火山と軽石が混ざり合った土壌を持ち、高地に位置しています。
豊富な降水量と変動する湿度により、気温の変化が大きい気候が特徴です。
サンマルコス(Volcanic San Marcos)
繊細でフローラルなフレーバー
サンマルコスは8つのエリアの中で最も暖かく、降水量も多い地域です。
強い雨季があり、通常1〜3月の間に最も早く開花します。
ウェウェテナンゴ(Highland Huehue)
ワインのような風味で重厚
ウェウェテナンゴは3つの非火山地帯の中で最も高地にあり、乾燥した環境です。
人里離れた起伏の激しい地形で、メキシコからの暖かい乾燥風が吹き込みます。
グアテマラで最も有名な農園「エル・インヘルト農園」がここに位置しています。
グアテマラ産コーヒーのおすすめの楽しみ方
フルーティな酸味と華やかな香りが特徴のグアテマラ産コーヒー。
あなたはどのように楽しみたいと思いますか?
ここでは、おすすめの焙煎度と飲み方をいくつかご紹介します。
フレッシュな酸味を味わう
シャープな酸味を際立たせたい場合は、深煎りの「ミディアムロースト」から「シティロースト」が適しています。
ほのかな苦味を感じながら、まるでフルーツジュースのようなフレッシュな酸味が楽しめます。
コクと香りを引き立てる
コクと香りを強調したいなら、浅煎りの「シティロースト」を選びましょう。
酸味が和らぎ、苦味やコク、香りがより引き立ちます。
ミルクで甘さをプラス
甘さを加えたい場合は、深煎りの「フルシティロースト」以上がおすすめです。
濃いめに抽出したコーヒー(主にエスプレッソ)と温めたミルクを1:1で混ぜると、リッチな味わいに仕上がります。
この飲み方は、グアテマラでは「カフェコンレチェ」と呼ばれ、カフェオレやカフェラテよりもコーヒーの風味が濃厚です。
他のコーヒーとブレンド
ボディがしっかりとしたグアテマラ産コーヒーは、ブレンドのベースに最適です。
苦味や酸味に応じたオリジナルブレンドが楽しめます。
例えば
エチオピア → 豊かな酸味
ブラジル+コロンビア→ 香りが一層引き立つ
生豆を自分でブレンドする楽しみや、市販のブレンドコーヒーを選ぶのも良いですね。
最高品質のグアテマラコーヒーを味わう
特別な日や特に美味しいグアテマラコーヒーを楽しみたいときは、最高等級の「SHB(ストリクトリー ハードビーン)」を選びましょう。
高地で育ったこのコーヒーは、強い果実の香りと凝縮された旨みを楽しむことができます。
フローラルな香りで、洗練されたあなたへ
グアテマラ産のコーヒーは、優れた品質で知られる8つの産地があり、それぞれ異なる風味を楽しむことができます。
全体的に、フルーティな酸味と華やかな香りが特徴で、美味しく味わうことで、あなたの上品さを引き立てることができるでしょう。
まずは、ミルクや砂糖を加えずにブラックで、その豊かな風味を楽しんでみてください。
その後、異なる産地や焙煎度を試したり、カフェコンレチェやブレンドに挑戦してみるのもおすすめです。
グアテマラ産コーヒーの多彩な魅力を感じながら、素敵なコーヒータイムを楽しんでくださいね♪